top of page

上司による1on1が上手くいかない理由とは?

更新日:6 日前

組織エンゲージメントの維持・向上や部下の成長を支援する目的で、上司による1on1を必須とする企業は増えていますが、好例はなかなか聞かれません。


職場内のコミュニケーションの希薄化が問題視され、心理的安全性を確保するための手段として「上司との定期的な対話」が有効だとされるようになりました。

また若手社員は「自分の成長実感」や「上司との信頼関係」を重視する傾向が強く、1on1がその手段として有効であると注目された背景もあります。


上司による1on1を効果的なものにするためには、上司の傾聴力を磨く必要があるとして、「傾聴トレーニング」を導入するケースは多いのですが、“テクニック”を与えただけでは効果的な1on1は期待できません。


ありがちな例1

成長支援のはずが実態は、業務の進捗確認に陥ってしまう。「あれからどこまで進んでる?」という具合に定例化してしまうと、部下からすれば「また管理かよ!」って思う。


ありがちな例2

対話による信頼関係を構築するはずが、実態は上司が一方的に話す場になってしまう。「最近どう?」と聞いても、上司がすぐに会話の主導を握り、自分の話に持っていってしまうので、結局聞く気がないと部下は感じてしまう。


ありがちな例3

キャリア支援の場のはずが実態は、評価への探り合いの場と化してしまう。「次に同じようなことが起きた場合、どうしたら良いと思う?」と聞かれても、「この発言がどう評価に響くか・・・」と部下が構えてしまい、本音が出ない。


こうしたありがちな例に陥ってしまう原因は様々ありますが、まず一つは「1on1=傾聴すること」という認知が強調されていることです。

傾聴はとても重要なのですが、傾聴とはゴールにたどり着くための技法であり、関係構築の手段です。上司が「さあ、傾聴するぞ!」と意気込んで1on1に臨んだとしても、結局は日頃部下に対して気になっていることや、上司の関心事に無意識のうちに引っ張られ、前述の”ありがちな例”に陥ってしまうのです。


VUCAの環境下にある今、「個の自律」を重視するマネジメントが必要なのは疑う余地はありません。従業員のキャリア自律は、組織エンゲージメントを高めることにもつながります。これからの時代は「管理するマネジメント」から脱却し、「キャリアを軸に自律支援のマネジメント」へ変革させる必要があるのです。


1on1の目的は成長支援ですから、上司が満足する面談ではなく、部下のキャリア形成を具体的にフォローすることで、部下が満足するものでなければなりません。従って「自律的なキャリア形成」という共通語をベースに、上司自身が“キャリアとは何か”について自説を持っていることが重要なのです。


自分自身がどのようにキャリアを築いてきたのか、またどんな選択や葛藤があったのかを振り返り、言語化できている上司でなければ、部下のWillや成長課題に本気で向き合うことはできません。


つまり、部下を理解する前に、上司が自分自身を理解しているか? が問われるのです。

そのうえで、部下がどんなことに悩み、何に価値を感じているのかを知ろうとする姿勢があって初めて、1on1が「聴く」場として機能しはじめます。


一方的に傾聴スキルを磨いても、そもそも部下に関心がなければ、言葉の表面しか拾えませんし、やがて”ありがちな例”をなぞるように機能不全を引き起こしかねません。


1on1とは、部下のWillに耳を傾けながら、「一緒に考える」ことができる関係性の中で初めて意味を持つものです。そして「一緒に考える」とは、部下の代わりに答えを出すことではなく、上司が自分の言葉で問いを立て、共に葛藤し、伴走する姿勢を見せること。部下の理解なしに1on1は機能しません。


その前提にあるべきは、上司自身のキャリア観と、部下を理解しようとする意思の両輪なのです。キャリア自律が拓く新しい時代のマネジメントの在り方を上司は学ぶことが大切です。


キャリア自律が拓く新しい時代のマネジメントの在り方とは? 後編に続く

Comments


Commenting on this post isn't available anymore. Contact the site owner for more info.
bottom of page